【社長ブログ】具体と抽象について 20/52
- 中明知也
- 5月16日
- 読了時間: 5分
更新日:5月24日
株式会社Minato 代表取締役 中明知也

----------------------------------
■ はじめに:ご挨拶と近況
----------------------------------
みなさん、こんにちは。
株式会社Minatoの中明知也です。
年初の慌ただしさも落ち着き、私自身も少しずつ思考にゆとりを取り戻しつつあります。
そんな中、ようやく行くことができたのが、以前このブログでもご紹介した「おきらく」さん。オープン当初から気になっていた、ラム肉を専門とした焼肉店です。
実はこの「おきらく」、経営者仲間が立ち上げたお店なんです。
場所は群馬県館林市。オープンから3ヶ月ほど経っていますが、店内はとても清潔に保たれており、クレンリネスは文句なしの★★★。
そして、店員さんたちの元気で明るい接客も非常に好印象でした。
料理のクオリティも素晴らしく、特にラムタンは絶品。豚タンよりもあっさりしていながら旨味が強く、歯ごたえもあり、個人的にはかなり感動しました。
ハツや肩ロースといった部位も非常に新鮮で、素材へのこだわりが伝わってきます。
ただ焼肉を食べるというよりも、美味しい料理とお酒をゆっくりと楽しみ、会話を楽しみながら締めにラムをつまむ。
そんな“大人の集い場”としての魅力を感じました。
仲間と語り合いながら、美味しいものを囲む時間は、やはり最高ですね。
そして実は、私たちMinatoも現在、三ノ宮でラム肉を使った飲食店の出店準備を進めており、店舗名は『ひつじの杜』に決定しました。
素材選定やメニュー開発、空間設計など、まさに「具体」を積み重ねている真っ最中です。
今日のテーマにも関わるのですが、こういった事業開発には、抽象的な構想と、具体的な実行の両方が求められます。
----------------------------------
■ 本日のテーマ:「具体と抽象」
----------------------------------
さて、本題です。
今回のテーマは「具体と抽象」について。これは、仕事をするうえで欠かせない思考の柱だと私は考えています。
----------------------------------
■ 具体と抽象とは何か?
----------------------------------
簡単に整理すると、
具体:誰にでもわかる事実や行動、数字、出来事など。
抽象:物事の本質、構造、原理、概念。複数の具体を統合して導かれる視点。
たとえば、「おきらくで食べたラムタンが美味しかった」は具体です。
それに対し、「お客様の満足度は、料理、空間、接客のバランスで決まる」というのは抽象的な気づきです。
この“具体と抽象を自在に行き来する力”が、仕事における「理解力」「伝達力」「判断力」のすべての基盤になります。
----------------------------------
■ 経営者に求められる抽象思考
----------------------------------
役職が上がるほど、求められるのは抽象思考です。
経営者やマネジメント層は、目の前の数字や現象にとらわれすぎず、それらの背景にある構造やパターン、本質を見抜く必要があります。
「売上が落ちた」→「なぜ?」→「商品コンセプトが時代とズレている」「顧客ニーズの変化に対応できていない」など、根本原因を特定し、先を見据えた打ち手を考えるためには、抽象的な視点が欠かせません。
----------------------------------
■ 現場に求められる具体性
----------------------------------
一方で、現場の社員にとって必要なのは、「いま、何が起きているか」を正確に具体的に伝える力です。
「忙しい」「大変だった」ではなく、「どの業務に、どれだけの時間がかかり、どのような障害があったか」を明確に伝えることが、改善や判断の第一歩となります。
----------------------------------
■ 社長と社員が噛み合わない理由
----------------------------------
経営者が未来や構造(抽象)を語り、社員が目の前の業務(具体)を見ているとき、同じ空間にいても議論がすれ違うことがあります。
たとえば、社長が「3年後に備えてチーム体制を再構築したい」と話しても、社員は「今の仕事が手一杯で、これ以上できない」と返す——これはどちらが正しいというよりも、見ている“階層”が違うからです。
----------------------------------
■ 中間層の役割:翻訳者であり、潤滑油である
----------------------------------
ここで鍵となるのが、「中間層」の存在です。
中間層は、社長と社員のコミュニケーションを円滑にする潤滑油であり、両者の思考の階層をつなぐ“翻訳者”としての役割が求められます。
具体的には、
抽象を具体に翻訳し、行動を促す 経営者のビジョンや戦略を、現場に伝わる言葉とアクションに落とし込む。
具体を抽象に整理し、課題を明確にする 現場で発生している出来事や問題を吸い上げ、構造的に捉えて経営陣に報告する。
この“往復運動”ができる人材は、組織の中で非常に貴重な存在です。
抽象化するには、視点の広さと知識が不可欠。具体化するには、現場の業務に精通し、社員との関係性を築く力が求められます。
中間層が育つ組織は、情報の流れがスムーズで、意思決定も早く、実行力も高い。まさに組織の“背骨”となる存在だと私は思います。
----------------------------------
■ 「抽象」と「具体」を行き来する力を持とう
----------------------------------
最終的には、どの立場にあっても、抽象と具体を自在に行き来することが求められます。
具体の中から共通点を見出し、抽象的な構造として理解する。そして、抽象的なビジョンや方針を、具体的な行動に落とし込む。
この“思考のスイッチ”ができるようになることで、組織内の会話は噛み合い、課題は明確になり、動きもスムーズになります。
----------------------------------
■ おわりに:感謝と決意
----------------------------------
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
「ロジカルシンキング」と並び、「具体と抽象を理解し、行き来できる力」は、これからの時代のビジネスパーソンにとって必要不可欠なスキルです。
私自身も、三ノ宮の新店舗「ひつじの杜」の準備を進めながら、抽象的なビジョンと具体的な現実を行き来し、理想と実行のバランスを常に考えています。
どんな仕事も、どんな組織も、人と人との理解とつながりで成り立っています。
その理解を深めるための鍵が、「具体と抽象」という思考の言語なのかもしれません。
これからも学びを深め、行動につなげながら、良い組織と社会をつくっていきたいと思います。
どうぞ引き続き、よろしくお願いいたします。
コメント